【代表インタビュー】海外進出を支えるSASALの顧客支援の原点とエコシステムへの考え方

インタビュアー
本日は、SASALを経営されている坂元さんにお越しいただきました。SASALがどんな会社なのか、そしてなぜ今の形にたどり着いたのかを伺っていきます。まずは簡単な会社の自己紹介を頂けますと幸いです。

坂元さん
ご紹介ありがとうございます。改めましてSASALの坂元友里乃と申します。SASALは、Cross-Border Joint Venture Ecosystemを運営しております。NYを中心に英語圏の企業様の海外展開をご支援させて頂いております。日本国内の日系企業様においては日本から海外への進出支援をさせて頂いております。本日はよろしくお願いいたします。

第1章:SASALの原点――戦略コンサルとして始まり、現場の“詰まり”に向き合ってきた

インタビュアー
SASALはもともと戦略コンサルとして始まったと書かれていますが、その頃から今の思想は変わっていないのでしょうか。

坂元さん
根っこは変わっていません。SASALは2022年に戦略コンサルティングとしてスタートし、複雑な課題に対して戦略と実行を支援するところから始まりました。 ただ、ご支援を続けていく中で痛感したのは、世の中で「戦略が作れた」ことと「事業が動いた」ことの間には、想像以上に深い溝があるということです。資料は整っているのに、会議は終わるのに、結局、前に進まない。誰かが悪いわけではなくて、構造的に“前に進めない状態”が生まれていることが多い。そこに向き合わずに「次のレポートを出して終わり」では、クライアントに本当の価値を渡せないと思うようになりました。

私が現場で何度も見たのは、企業が迷っているというより、迷うだけの理由が揃っている状況です。情報が足りない、社内の利害が複雑、外部環境が変わり続ける、そして何より「最終的に誰が責任を取って進めるのか」が曖昧になりやすい。だからSASALは、最初から答えを出すのではなく、問いを整理することから始めます。どこの市場を見るべきか、どんな形なら勝ち筋があるのか、いつ動くべきか、そもそも今は動かない方がいいのか。まだ言語化されていない問いを、意思決定のための問いに変えていく。SASALが“まだ不確かな段階”から関与するというのは、まさにそこに価値があるからです。


第2章:「海外に出しましょう」とは言わない――むしろ“出ない判断”も含めて支える

インタビュアー
SASALの特徴として、「海外展開を無理に勧めない」「状況によっては国内集中を提案する」と書かれていたのが印象的でした。なぜそこまで明確に言い切れるのでしょうか。

坂元さん
これは顧客支援の誠実さの話だと思っています。海外展開を支援する会社が、海外展開を勧めないことがある、というのは一見不思議に見えるかもしれません。でも、SASALは「海外を売る会社」ではなく、「企業価値を上げる会社」だとミッションで明言しています。 だから、海外に出ることで企業価値が上がるタイミングなら背中を押すし、逆に今は国内で基盤を固めた方が企業価値が上がるなら、そう提案します。実際、グローバルの市場環境は常に変化していて、企業のフェーズによって“今やるべきこと”は全く変わる。状況を無視して海外に出るのは、勇気ではなく無謀になってしまうこともあります

クライアントにとって本当に欲しいのは、海外に出ることそのものではなく、正しい意思決定ができる状態です。SASALは、クライアントが今の現実と向き合いながら、次の一手を選べる状態を作りたい。その結果が「海外」になることもあれば、「国内を固める」になることもある。そこに嘘がないことが、長期的な信頼につながると思っています。


第3章:なぜエコシステムなのか――「一社で解けない問題」を、解ける形に変えるために

インタビュアー
2025年にSASALが「Cross-Border Joint Venture Ecosystem」へ進化したとあります。ここは“JV”という言葉が入りますが、今日はJVの話を中心にしたいというより、「なぜエコシステムにしたのか」を伺いたいです。

坂元さん
まさにそこが本質です。SASALが2025年にエコシステムとしての枠組みに進化した背景には、「戦略だけでは足りない」という現実があります。SASALのCEOメッセージにもある通り、グローバル市場は戦略以上のものを要求するようになってきた。だから私たちは「戦略から共同創造へ」と舵を切りました。

エコシステムという形にした理由は、企業が境界を越えて何かを成し遂げるとき、必要なのは“点の支援”ではなく“面の支援”だからです。ある会社が海外を考えるとき、必要なのは市場の見立てだけではありません。現地の現実、実務の接続、信用の組み立て、継続運用の設計、そして「誰とどんな関係性を築くか」。これらが連動しないと、事業は動きません。だからSASALは、SASAL自身がハブとなり、早い段階からクライアントの不確実性を整理し、方向性が明確になったらエコシステム内の企業と連携して、戦略から実行まで一貫して支援するモデルにしました。

そして、ここで誤解してほしくないのは、エコシステムは「紹介ネットワーク」ではないということです。紹介は手段の一部にすぎません。エコシステムにすることで、クライアントが必要なときに必要な機能を呼び出せる状態を作る。その設計があるからこそ、長期の伴走が可能になる。SASALが掲げているステージベースのアプローチは、まさにこの思想を制度化したものだと思っています


第4章:顧客支援に対する思い――「話を聞くこと」を最初の価値にする理由

インタビュアー
SASALのミッションに「クライアントの需要を聞いて、本当の価値を渡したい」という趣旨があります。支援会社は多いですが、SASALがそれを強調する理由は何でしょう。

坂元さん
私は、支援会社が価値を出すためには「聞く力」が最初の条件だと考えています。SASALのミッションには、クライアントの需要を議論し、聞くことで真の価値を提供したいと書いてあります。 これは理想論ではなく、現場の結論です。企業の状況は本当にバラバラです。同じ「海外展開」という言葉を使っていても、成長フェーズも、資金力も、組織も、強みも、制約も全く違う。だから「一般的な成功パターン」を当てはめてもズレてしまう。支援がうまくいかない時は、大抵、最初の前提がズレています。

SASALが最初にやるのは、派手な提案ではなく、状況を丁寧に聴くことです。何を恐れているのか、どこまでやりたいのか、何を捨てられないのか、どこなら変えられるのか。クライアントが言語化できていないものを、少しずつ言葉にしていく。その過程が、意思決定の土台になります。だからSASALは「相談してください」と書いていますし、必要以上に海外を勧めないとも書いています。相談の入口で“勝手に方向を決めない”という姿勢が、結果としてクライアントの企業価値を守ることになるからです。


第5章:SASALが目指す世界――「境界を越えて価値が生まれる場」を当たり前にする

インタビュアー
エコシステムを取り巻く形に対する思い、つまりSASALがこの先どういう世界を作りたいのかを聞かせてください。

坂元さん
SASALのVisionには「世界に貢献する」という方向性が書かれています。価値は国の大きさで決まらないし、どこで事業をしていても、社会に対して何をしたいかが大事だという姿勢です。 私が作りたいのは、「国境を越えること」が特別な挑戦ではなくなる世界です。国境を越えると、言語・文化・制度・商習慣など違いが多い。でも、その違いは障壁であると同時に、共創の源泉でもあります。違うもの同士が組み合わさることで、一社では到達できない価値が生まれる。CEOメッセージが言う「未来は共創で広がる」というのは、その感覚を表していると思います。

だからSASALは、単発の案件を増やすことよりも、長期的に信頼が蓄積される環境を整えることに重きを置いています。登録から始めて、必要なタイミングで関わり方を深められるステージベースの設計も、クライアントと一緒に成長するという思想から来ています。 そして、最終的にSASALが誇れる状態は、SASALが前に出たかどうかではなく、クライアントが意思決定できる状態になり、事業が継続し、企業価値が上がっていることです。SASALが目指すのは、その“当たり前”が積み重なるエコシステムです。


第6章:英語圏を主軸にしながら、日本人としてどう関わるか

インタビュアー
SASALは英語圏の企業や海外の創業者とも多く関わっていますが、一方で日系企業の支援も行っていますよね。そのバランスについては、どのように考えていますか。

坂元さん
前提として、SASALの活動の主軸は英語圏です。日常的にやり取りしているのも、英語圏の企業、創業者、プロフェッショナルが中心です。本社はニューヨークであり、当方自身も現在はロンドンに居住しております。エコシステムとしても国籍を限定していません。ただ、その上で、私自身が日本人であることを「消そう」とは一切思っていません。むしろ必要に応じて、日本人であることを積極的に生かすようにしています。

英語圏で仕事をしていると、日本人だからこそ拾える違和感や、察知できる微妙な感情があると感じます。特に日系企業や日本人創業者が関わる案件では、論理や条件だけでなく、言葉にされていない不安や躊躇い、慎重さの背景まで理解できる。その理解があるかどうかで、支援の質は大きく変わります。だからSASALでは、英語圏を主軸にしながらも、必要な時は日本語で、日本的な感覚で、かなり丁寧に支援を行っています。それは「日本市場向けサービスを売っている」というより、「日本人だからできる関与を、必要な範囲で惜しまない」という感覚に近いです。


第7章:日本人としてのアイデンティティを、海外でどう扱うか

インタビュアー
海外で活動するうえで、「日本人としてのアイデンティティ」を意識することはありますか。

坂元さん
かなり意識しています。ただし、それは日本的であろうとする、という意味ではありません。海外にいると、日本人は「礼儀正しい」「真面目」「約束を守る」「感情を表に出し過ぎない」といった印象を持たれることが多い。これは一種のステレオタイプですが、現実として前提条件になっている場面は多いです。

私は、その印象を“否定しない”ようにしています。むしろ、うまく使う。日本人が持たれている「安心できる」「裏切らなさそう」「慎重に考える」という印象は、長期のパートナーシップにおいては大きな強みになります。一方で、海外では「自分の意見を言わない」「決断が遅い」と誤解されやすい面もある。だから私は、日本人としての丁寧さや誠実さをベースにしつつ、必要な場面では立場を明確にし、判断を言葉にすることを意識しています。

つまり、日本人であることを前提にしながら、日本人にありがちな弱点だけを自覚的に補う。そのバランスを常に意識しています。これはSASALのスタイルそのものにも影響しています。


第8章:海外から見た日本人、そして日系企業への向き合い方

インタビュアー
海外の企業や投資家から見る、日本人や日系企業への印象については、どう感じていますか。

坂元さん
率直に言うと、日本人や日系企業は「信用はされやすいが、理解はされにくい」存在だと思います。約束を守る、品質を落とさない、長期視点で考える。その点では高く評価されている。ただ一方で、なぜ慎重なのか、なぜすぐに結論を出さないのか、その背景までは理解されないことが多い。

だからSASALが日系企業を支援する際には、「海外に合わせる」だけではなく、「日本側の考え方を翻訳する」ことを重視しています。これは言語の翻訳ではなく、意思決定のロジックや文化の翻訳です。たとえば、日本企業が一度持ち帰って検討する理由や、社内合意の重要性を、海外側にきちんと説明する。それによって、日本企業が「遅い」のではなく、「組織として責任を持って動いている」という理解に変わることがあります。

日本人としての感覚があるからこそ、どこを説明し、どこは説明しなくても通じるのかが分かる。その役割は、SASALが英語圏にいながら日系企業も支援している大きな理由の一つです。


第9章:暖かさとプロフェッショナリズムの両立

インタビュアー
「暖かく支援する」という言葉がありましたが、そのあたりは意識的でしょうか。

坂元さん
とても意識しています。ただし、全てを許容するという意味ではありません。日系企業や日本人創業者を支援するとき、「分かるよ」「大変だよね」で終わってしまえば楽なんですが、それでは前に進まない。SASALが目指しているのは、気持ちは理解したうえで、必要なところはきちんと現実を伝えることです。

日本人は、海外では少数派です。不利になることもありますし、言語や文化の差で消耗することもある。だからこそ、安心できる相手がいることは重要だと思っています。一方で、海外の土俵に立つ以上、曖昧なままでは通用しない局面も必ず来る。その両方を分かったうえで伴走することが、SASALにとっての「暖かさ」だと思っています。


第10章:「日本人であること」を消さずに、世界で仕事をするということ

インタビュアー
最後に、日本人として海外で働くこと、企業を支援することについて、伝えたいメッセージがあればお願いします。

坂元さん
海外で仕事をするとき、日本人であることを「乗り越えるべきハンデ」だと捉える人もいます。でも私はそうは思っていません。日本人であることは、使い方次第で大きな強みになります。丁寧さ、誠実さ、我慢強さ、長期視点。これらは、短期的な派手さはなくても、信頼関係を築くうえでは非常に強い。

SASALは英語圏を主軸に活動していますが、それと同時に同じ日本人として、日本企業に貢献できるのは嬉しいと考えております。過去に当方が通ってきた道だからこそお伝えできることもあると考えておりますので、同じ日本人として日本企業が海外へ進出する際の進出リスクを減らし、将来の企業価値向上に貢献できますと幸いです。

 

インタビュアー
以上でインタビューは終了となります。本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。

坂元さん
こちらこそありがとうございました。本記事を閲覧いただいた皆様もありがとうございました。