本記事では海外進出に挑戦される企業が共通して抱える問題を分かりやすくインタビュー形式で紹介しております。共感頂ける部分もあるかと考えますのでぜひ自社の状況と重ねながらお読みいただけますと幸いです。
phase1. 進出への関心と不安
――最近、海外進出について検討され始めたと伺いました。
そうですね。きっかけが明確にあったというよりは、徐々に気になり始めた、という感覚に近いです。周りでも海外に出ている企業が増えていますし、市場の話を見ていても、「いずれは考えないといけないのかもしれない」と思うことが多くなりました。ただ、正直なところ、まだ自分の中で整理はできていません。やるべきなのかどうか――そこがまず分からないんです。
――やる必要性は感じているけれど、決断には至っていない状態ですね。
そうですね。やったほうがいい気はするんです。ただ、本当に今なのか、自社にとって必要なのか、その確信が持てない。やらないと取り残されるような不安もある一方で、リスクも大きい。だからこそ、踏み出しきれない。結局のところ、「やるかやらないか」ではなくて、「どう考えればいいのか分からない」というのが一番近い感覚だと思います。
phase2. 情報収集
――そこから、かなり情報は集められたのではないでしょうか。
はい。それこそ相当な時間をかけました。市場の情報も見ましたし、進出事例や制度面、具体的な進め方についても一通りは調べました。コンサルティング会社の話も聞きましたし、知人経由で現地の方とも何人かお話ししました。
――かなり網羅的に見られていますね。判断材料は揃ってきた印象はありますか。
むしろ逆なんです。調べれば調べるほど、分からなくなってきました。
――どういう点がですか。
どれも正しそうに見えるんですよね。どの市場も成長しているように見えますし、どの進め方も合理的に聞こえる。でも、それが「自社にとって正しいか」となると、途端に判断ができなくなるんです。その結果、こういう状態になります。時間もコストもかけて情報収集はしているのに、結局、何をすればよいのかは分からない。
――まさに、多くの企業が陥る状態です。
本当にその通りだと思います。情報は増えているのに、意思決定は進まない。むしろ以前よりも動きづらくなっている感じがあります。
phase3. 思考整理
――その段階で、一番難しいと感じていることは何でしょうか。
整理ができないことですね。個別の情報は理解できるんです。例えば、現地法人を設立する場合のメリット・デメリットも分かるし、パートナーと組む場合のリスクもある程度想像できる。ただ、それらが全部つながっているんですよね。どの国を選ぶかによって、戦い方も変わるし、体制も変わる。どこまで自社でやるのかによって、必要な投資も変わる。そうなると、部分的には理解できても、全体として判断できなくなる。
――判断軸が持てていない状態ですね。
まさにそうです。何を基準に決めればいいのか。その軸がはっきりしないまま、選択肢だけが増えていく。だから、どこで決断すればいいのかも分からないんです。
phase4. 信頼できる人を探す
――そうすると、外部の人に頼るという発想は出てきますか。
はい、それは強く感じています。むしろ、ここまで来ると、自社だけで判断するのは危険なのではないか、という感覚の方が強くなってきます。
――ただ、その一方で難しさもある。
そうなんです。誰に頼ればいいのか、そこが一番分からない。何人かに話を聞きましたが、それぞれ違うことを言いますし、どれも間違っているわけではない。ただ、それが自社にとって正しいかは分からない。コンサルティング会社もいくつか見ましたが、「この人に任せれば大丈夫だ」と言い切れるところまでは行かない。
――紹介もありますよね。
あります。ただ、それも同じで、その人が優秀かどうかと、自社にとって最適かどうかは別の話なんですよね。最終的には、人を選ぶ判断自体が難しい。だからこそ、誰の話を信じればいいのか分からない。ここに戻ってしまうんです。
phase5. 任せる
――その中で、考え方に変化はありましたか。
最初の頃は、自社で進められると思っていました。ただ、ここまで考えていくと、海外進出は単なる施策ではないということが分かってきます。市場選定も、パートナーも、組織も、すべてが連動している。その中で一つ判断を間違えると、全体に影響が出る。そう考えると、部分的な支援ではなくて、最初から最後まで全体を見てくれる存在が必要だと感じるようになりました。
――つまり、「任せたい」という感覚に近い。
そうですね。できれば、最初の段階から一緒に考えてほしい。全体像を理解した上で判断をサポートしてほしい。そういう意味では、「任せたい」というより、「一緒に意思決定してほしい」が近いかもしれません。ただ、それでもやはり最後に残るのは同じ問題です。任せたい。でも、誰に任せればいいのか分からない。ここで止まってしまうんです。
最後に
海外進出の検討は、多くの場合、このような流れを辿ります。不安から始まり、情報を集め、選択肢が増え、かえって整理が難しくなり、最終的には「誰を信じるべきか」という問いに行き着く。このプロセスは決して特別なものではありません。むしろ、慎重に検討している企業ほど、この段階にしっかりと向き合っています。そして、ここで重要なのは、さらに情報を増やすことではありません。また、無理に結論を出すことでもありません。海外進出において本当に必要なのは、意思決定そのものをどのように設計するかという視点です。
SASALでは、この意思決定のプロセスそのものを支援しています。どの国に行くべきか、どの手法を取るべきかといった個別の選択の前に、そもそもどのような構造で進めるべきか、自社にとってどの選択が現実的なのか、その判断軸を整理するところから伴走します。
もしここまでの話に思い当たる点があるのであれば、それはすでに「海外進出をするかどうか」ではなく、「どう意思決定するか」という段階に入っているということです。そしてその段階こそが、最も重要であり、最も結果を左右する局面です。



